建築家・栗田仁の公式サイト





建築家・栗田仁の公式サイト



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☆住所  ;静岡県静岡市葵区5-11-37 (〒420-0961)


大川地区「本山茶隠快適空間創造」 2000

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4つの草庵茶室の競演

山間地の住人の皆さんと、「茶室」づくりのコラボレーション

2000年11月、静岡市の中心部から約30キロ北にある山間地、大川地区は静岡にお茶を伝えたといわれる聖一国師の生誕の地。そんな大川地区で村おこしのための「本山茶飲快適空間創造」というイベントが企画されました。



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農産物としてのお茶から楽しむためのお茶に

招待作家(建築家)4名、手弁当で茶室づくりにはまる

多種多様な解釈で、ユニークな茶室が4つ、大川地区日向(ひなた)の空き地に姿をあらわしました。




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4つの草庵茶室の競演

外なる双曲線と内なる双曲線

栗田仁は川口宗敏、松永和広、望月誠一郎の各氏とともに「招待作家」として茶室の設計と制作に参加。
大川地区の地元産の素材を使い、住民有志との共同作業による茶室づくりは4棟の茶室を生みだしました。
栗田仁の作品はハイパーボリック・シェルを竹で表現したもので「双曲庵」と名付けられています。ちなみに外側のネットも双曲面を構成しています。



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大川の地元の皆さんと「双曲庵」をつくりました

直線の部材で曲面を構成する→→これが双曲庵の特徴

入口のある部分の三角形は例外的に曲面ではありません。



大川地区「本山茶隠快適空間創造」 2000  新聞記事から・・・

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「双曲庵」におけるお茶会

日本食糧新聞に掲載

たしかに一般の方が目にする新聞ではありませんが、このイベントの特集号を組んで
盛り上げていただきました。
栗田仁のデザインした茶室でのお茶会の風景です。



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「双曲庵」におけるお茶会(2)

読売新聞(地方版)に掲載

天井をつくらない茶室であること、外部に(上空に)産業用ネットによる「外なる双曲面」があることを写してくれた貴重な1カット。




大川地区「本山茶隠快適空間創造」 2000  新聞記事から

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日本食糧新聞 2000.12.06.

一応…なんて言うと叱られますが、「全国紙」に掲載。

作者としては、もう少し右に回った位置から撮影してほしかった気がしますが、まずまず
「双曲庵」の雰囲気を捉えてくれていると思います。


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静岡新聞 2000.11.14.

地元紙、さすがに大きく取り上げてくれました。

写真は松永和廣氏の「雲聚庵」。




大川地区「本山茶隠快適空間創造」 第2回  2002


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第2回目は3つの草庵茶室

川口、栗田、松永が茶室を、望月が全体の配置計画を担当

前回(2年前)と同じく栗田仁は川口宗敏、松永和広、望月誠一郎の各氏とともに「招待作家」として茶室の設計と制作に参加。今回は望月氏が配置計画担当となり、3名の建築家が草庵茶室をつくることとなりました。




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栗田は地元の皆さんと「蝸牛庵」をつくりました

カタツムリの内部でお茶を楽しむ.

裏山から切り出した杉丸太を主要な骨組みとし、そのまわりに、これも裏山から切り出した竹をスパイラル状に葺いて殻を構成しました。
スリットの隙間から見えるような見えないような微妙な「透き」の眺めが秀逸な雰囲気をつくりだしています。





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3つの草庵茶室

「エスカルゴ」内部の見上げ景

実際には透けているんだけれど、わりとしっかりと区切られている・・・「結界」とはそういうものです。竹の縦格子状の屋根(天井)皮膜は、外の山や空を透かして見せてくれますが、同時に「優しい曲面に囲まれた内部にいる」不思議な安堵感もあります。




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地元の皆さんと「蝸牛庵」をつくりました

「本職農業」の皆さんの手技に驚く




大川地区「本山茶隠快適空間創造」 2002  新聞記事

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『中日新聞 2002年11月25日』

左上写真、栗田仁設計の「蝸牛庵」におけるお茶会の様子

広角レンズとは、こういう写真を撮るためにある、という教則本にでてきそうないい写真だと思います。近景のお茶をたてる師匠、その向こうにお客様、そして背景としての「蝸牛庵」の内部が実に生き生きと捉えられています。

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『日本食糧新聞』

「蝸牛庵」内部(左上写真)、「蝸牛庵」外観(上写真)

もともとのイメージは草庵、すなわち「草の庵(いおり)」であり、かなり小規模なものを思い描きましたが、ある程度の人数を入れたいという地元の意向もあり、「蝸牛庵」の内部は、外部から想像するよりもゆったりしています。
一方、外観は「大きく見えすぎない」方針であり、その点では当初の意図を実現したと思っています。

「第57会 全国お茶まつり」 2003
@静岡市葵区駿府公園 2003年11月15日16日
 ちらし

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「お茶の静岡」アピールする全国お茶まつり

二つの茶室が登場することになりました

ひとつは静岡文化芸術大学の川口宗敏教授の作、もうひとつは栗田仁の茶室が、イベント当日に、お茶会の会場として、企画されました。
茶室づくりに関して、建築家とお茶産地の静岡の中山間地大川地区の住民との共同作業は、それまでに2回の実績がありました。
地元の山間地の素材(木や竹)を使って、地元の住民の手で組み上げる茶室づくりのプロジェクトがスタートしました。




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大川地区における準備作業(中日新聞 2003年10月27日)

集めた数百本の孟宗竹の前、模型で構想を説明

静岡の中心市街地から約50分。大川地区の広場で、素材の加工を3週間前からスタートします。





@静岡市葵区駿府公園  準備中

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「茂みの中から飛び立つ鷹」

イベント本番前日、東御門・巽櫓方向からの外観

壁から屋根に無段階に変化する孟宗竹。すべて直っすくな竹を用いて、微妙な曲面構成が生まれています。
結界の部分は、まっすぐな竹を平行にならべて、平面的にはおらかな曲線を描きます。茶室の奥の部分では、皮を剥いた杉丸太で、同様の結界を構成しています。




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上の写真の反対側(紅葉山庭園側)

茶室のバックヤード、すなわち水屋、茶道口側の外観

室内的な雰囲気をつくりつつも、実際のところは、雨が降ればすぶぬれになってしまうわけですし、壁もあちこち透けていますし、風はさまざまに抜けていきます。
この抜け方、透け方を操作することが、お茶を楽しむための建築、お茶の哲学を体現する建築である数寄屋(隙屋、透屋、好屋)の基本かなと感じました。


準備中  紹介記事(中日新聞2003.11.14.)

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巽櫓、東御門からのメインアプローチから見る外観

大木の根元から今にも飛び立ちそうな・・・.

ビジターのアプローチ方向から眺める「鷹翔亭」の外観(工事中)。


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「鷹翔亭」模型

上記と反対方向からの模型の外観.

鷹の飛翔のイメージをストレートに見せる東側外観

イベント当日

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全国からのビジターに、静岡のお茶と静岡の茶室をアピール

右奥、浮遊感のある「床の間」

2週間かけてつくりあげた茶室のお披露目。二つの茶室の「時間割」をつくり、各流派のお師匠さんがそれぞれの趣向でお茶会を催しました。





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内部のような、外部のような・・・

「外なのか中なのか、よくわからないけれど、とにかく楽しそう」

・・・嬉しい感想を頂戴しました。
それぞれの茶室におけるお茶会のチケットを購入していただき、順番をまっていただいての「お茶会」になります。

「え! イベント終わったら、これ、壊しちゃうんですか?!」
「もったいないねえ!」
・・・まさにそのとおりなのですが、公園との約束事は「原状復帰」。
数日後、一同、涙とともに解体工事に取り掛かりました。


工事中 (工事は2週間前から、スタートしました)

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床は、卵がふたつ合わさった形になっています

外部は羽ばたく鷹、内部は卵を抱く鷹

丸太と竹を並べて、野趣たっぷりの床になっています。座布団がないと痛くて座れませんが、奥には床の間に相当する部分も、花掛けも用意されています。




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孟宗竹200本の迫力、屋根と壁ができあがる・・・

入口側に木肌の美しいヒメシャラの丸太柱、梁には皮つきの杉丸太

ここまでで、ほぼ10日間。あと数日で本番。これから床の制作にかかります。屋根と壁ができあがって、鷹翔亭の雰囲気が整い始めました。工事に取り組んでいる皆さんの士気が高まります。


「全国お茶まつり」イベント当日

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「鷹翔亭」 露地待合

本体と同じように、竹を組み立てて、待合をつくりました。

ありがたいことに、「鷹翔亭」は、"行列のできる茶室"となりました。 正確には露地ではありませんが、少し離れたところに、待合の場を組み立てました。







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農水相、知事、市長に「鷹翔亭」を解説

当時の亀井農水大臣、石川県知事、小嶋市長が茶室を訪問

静岡市の山間地、大川地区の住民とのコラボレーションで、竹の伐採から2週間かけて組み上げて行くまでのプロセス、およびこの茶室のコンセプトをご説明しました。


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