著作
もう一つの住まい学
--暮らしよい家づくりのヒント--』(時事通信社)
( 初版 1981年10月1日 2刷 1986年10月1日)
☆書評から☆
普通の人が家を建てようとすると、まず住宅雑誌を買って勉強するという。これは結構のようだが、実はそうではない。雑誌はある程度続けて読まないと、家全体と部分との関係がうまくいかないものである。どうせ本を読むなら、初めに一冊の本で家全体について自分の考えをまとめたほうがいい。それから雑誌を見れば、より具体的にわかるはずである。
けれども素人には、その一冊がなかなか探せない。なぜなら、本屋の建築の棚には実に大量の本があって、専門家(建築家)の書いた本は大抵むずかしい。逆に普通の人が書いた体験やアドバイスものは、分かりやすくはあるが、普遍性がなかったり、読者が知りたいことが出てなかったりで、なかなか手ごろな本に出会えないものである。
本書は建築家の栗田仁さんが、素人に語りかけるように書いたものである。専門用語をほとんど使わないで、彼の「肉声」で語ったものである。それでいて、現在の住宅がかかえている様々な難問(狭さ、建築費の高騰、隣との問題など)の大半について、いちいち解答を示している。
たとえば「ホンネの住みこなし」という章では、坐って生活するか腰かけて生活するか、まずそれを決めてからプランにはいれと忠告する。「吹抜け」の章では、狭い家と広い家でその効果が違うとわかりやすく述べて、流行に左右されるなと言う。かと思うと建具というちいさな要素に三章をさいて、その重要性を述べる。
以上おわかりのように、本書は家全体を概観しながら各細部も詳しく述べた本で、一般の建主が第一に読むには最適の一冊である。これを読めばプロと共通の話題が生まれる。
『室内』(工作社) 1981年11月号 ミニ書評より
著作
Schröder Houise
モンドリアン絵画を立体に翻訳した住まい (バナナブックス)
( 初版 2005年1月21日)
☆書評から☆
著作
Horta House
華麗なる世紀末の建築家、ヴィクトル・オルタの自邸(バナナブックス)
( 初版 2006年1月17日)
☆書評から☆
著作
Villa Tougendhut
トゥーゲントハット邸(バナナブックス)
( 初版2008年6月28日)
☆書評から☆